好きな作品のことを書く : 第三回 ロックマンX (コミカライズ版)

  小さい頃ロックマンが好きだった。どういうきっかけで好きだったのかは覚えていないが、小さい男の子が働く車や電車が好きになるような感覚で好きだった。

  小学生になる前の頃は家にゲームが無かったので持ってもいないロックマン6のゲームの攻略本だけ買ってもらって、マップが載ってあるページをフタのついたボールペンでなぞってゲームをプレイした気になって遊んだりしていた。

  あと新聞についてくるチラシの裏にオリジナルのステージを書いて作って遊んだりしていた。クリアさせる気のない本当に酷いステージだったけど。

 

  それから暫くしていつの頃だったか覚えていないのだが、小学校でコロコロ派とボンボン派の論争が起きて自分はどちらかと言うとコロコロ派だったのだが、それをきっかけにある日友達の家でボンボンを読ませてもらった時に岩本佳浩先生によるロックマンXのコミカライズ版が連載されている事を知り、お小遣いを握りしめて初代Xの単行本を買いに行き、読んで夢中になったのだが以降は単行本がなかなか見つからなくて揃えられずにいた。

  それから暫くして社会人になるかならないかくらいの時復刊ドットコムで再発行された事を知って全巻買い揃えて読みふけった。

 

  今回はそんなロックマンXのお話です。ゲームのシリーズも大好きなのですが、今回はコミカライズ版のお話です。

 

 

正義の二文字では割り切れない事象に身を投じることへの疑問や葛藤がとても濃いタッチでダイナミックに描かれる。

 

  岩本佳浩先生によるロックマンXは、コミックボンボンで1994年〜1998年に渡って連載されていたコミカライズ作品。

  人型の自立思考型ロボット、レプリロイドが世の中に普及した世界でレプリロイドが突然狂いだし破壊行為や犯罪を行うイレギュラーの調査・破壊を専門とするイレギュラーハンターという組織があり、主人公であるエックスもその一員であったが、本来ならレプリロイドには不要であるはずの思い悩む機能があるという理由でB級ハンターという評価を与えられ、エックスも周囲からの評価に甘んじていた。

  ある日イレギュラーハンターの特A級ハンターのシグマが人類へ反旗を翻し、8体の特A級ハンター達と共にクーデターを企てる。

  シグマの野望を阻止するため、エックスそして相棒のゼロはイレギュラーとの闘いに身を投じていく事になる。

 

  岩本佳浩先生のロックマンXは一言で言い表すなら熱い、とにかく濃くて熱い。

  悩むという特性を元々持っていたエックスに泣く機能という解釈を入れて、平和のためにイレギュラーを処分しなければならないが、その為には自身もレプリロイドを狩る存在にならなければならず、エックス自身の戦いに身を投じなければならない事への苦悩とステージボス達の個性が激しくぶつかり合う様を力のあるタッチで濃く描かれるのが何よりの魅力だ。

 

  イレギュラーハンターとして人類を守るために蜂起したイレギュラーやシグマによる脅威を排除するという大義名分があり、エックスもそれに準じた行動を取ることになるのだが、エックスが身を投じる戦場は正義だけでは割り切れない複雑な事情で溢れかえっている。

  上官と部下との信頼関係やかつての友、野心や生への渇望など、破壊しなければならない対象はイレギュラーと呼ばれてはいるものの、レプリロイドとしての心を失っておらず、その領域に踏み込むエックスは必ず何かの問題に直面する。

 

  無印Xの一番最初に攻略することになるアイシー・ペンギーゴが占拠する雪山ステージでは、マルスというコミカライズ版のオリジナルキャラクターが登場する。

  マルスはかつてエックスの友だったが、シグマの蜂起以降ペンギーゴに一度敗れ、氷漬けにされていた。

  エックスとペンギーゴとの戦闘で奇跡的に目覚めたマルスはペンギーゴを捕縛し、ペンギーゴの体内にある大雪崩を発生させる装置を破壊するために自分もろともペンギーゴをフルチャージショットで撃ち抜け。とエックスに言い寄るシーンがある。

 

  初めは戸惑うエックスだったが、ペンギーゴを破壊しなければ大雪崩が発生してしまう、マルスの寿命がもう長くない事を悟ったエックスはかつてマルスに教えられたイレギュラーハンターとしての誇りを胸にマルスもろともペンギーゴを破壊する。

  チャージショットを撃つ前のエックスは涙を必死に堪え表情を大きく歪ませているという表情の描写が特に素晴らしい。

  ヒーローでありながら常に自分の行動の是非を自らに問い続け、正義の一言では片付けられないような複雑に入り組んだ事象に身を投じなければならない。という事を実感させる非常に秀逸な表情の描写だと思っている。

  

  簡単に割り切れるものではない事象に身を投じながらエックスは成長を続けていくのかと思えば、エックスの悩むという特性上、戦いの後に残るものは虚しさが静かに身を切り裂くようなそんな後味を残すようなレプリロイド同士の人間模様を濃く、そして熱く描かれているのが何よりの魅力だ。

 

 

戦いの中でエックスが成長する…かと思いきやそうではないエックスの複雑な心境に寄り添って描かれる話が素晴らしい。

 

  本作は戦いの中で絶え間なく成長をつづける伝説の称号ROCKMANにエックスが近付いていき、戦いの中でエックスの力も心も成長していくのかと思えばそうではない。

  各シリーズ事にパワーアップのためのボディパーツを得たり、8ボスの特殊武器を持つことで力の面で成長することはあるのだが、エックスの心は戦いに慣れることはなく、むしろより一層思い悩んだり、場合によっては闇落ちしたりもする。

 

  人類を守るという大義名分があるとはいえ、イレギュラー認定されたレプリロイドを破壊しつづけなければならないという責務と、闘いそのものの悲しさ、無常さに身を晒され続けられなければならない事で疲弊していくエックスの心情をしっかりと描いてくれるのも岩本先生の作品のとても好きな所である。

 

  自分が特に好きなのは、X4のウェブ・スパイダスの話のくだりだ。スパイダスを倒したエックスは涙を流しながらいつ戦いが終わるんだと慟哭する。

  そのコマも苦悶と怒りをダイナミックに表情した素晴らしいコマなのだが、エックスの問いかけにスパイダスはレプリロイドが不完全な人間を模して作られたのだから自分達が不完全である事も必然で、自分達の一号機が作られた時から人間とレプリロイドの関係は決まっていた、故に争いは終わらない。

  エックスの問いかけに対しリアリストなスパイダスは自身の思いを述べただけのように見えるが、エックスにとってその言葉は呪詛のように残り続ける独特な余韻を持つ話なのだが、平和の為に理想を掲げるエックスの問い掛けにリアリストなスパイダスの返しの対比がなんとも素晴らしい。

 

  俺達レプリロイドは現し世にいながら無間地獄をさまよう機械仕掛けのデク人形さ…というちょっとキザな言葉と共にスパイダスは絶命するが、その言葉の選び方も絶妙にかっこいい。

 

  その後のエックスは争いを終わらせる為に力に固執し、遂にはX4の隠し武装であるアルティメットアーマーを手にするのだが、その後あまりの力量の差に命乞いをするボスを粉砕して、その様をみっともないと両断するほどエックスは闇落ちしていた。

 

  X4は諸事情の都合で後半がかなり急ぎ足な展開が続いてしまうのだが、終わらない争いにエックスの心が壊れていく様子を描きたかったという意図を感じることが出来る傑作だと思っている。

  スパイダスからアルティメットアーマー入手までのエックスの心境の変化についてとても素晴らしいので手に取る機会がある方は一度読んでみて欲しい。

 

 

好きなキャラクター

 

  エックスのライバルであるゼロの他にもう一人ライバルとなるキャラクターがおり、VAVAが好きだ。

  コミカライズ版のVAVAは自らがレプリロイドである事を自覚しており、レプリロイドは戦う事以外に存在価値が無いと考えるかなり硬派なキャラクターとなっており、無印Xでの登場シーンであるたとえばこのグラスの中身がバーボンでも泥水でも俺達には大差がない…というセリフはファンの間ではあまりにも有名である。

 

  戦闘能力のみに固執し、伝説の称号ROCKMANを手にした者を倒す事を掲げるVAVAの存在はイレギュラーでありながらシグマと共に蜂起した者達とは少し違い、かなり異質な存在になっている。

  無印XではVAVA戦をきっかけにゼロのバスターをエックスが引き継ぐというくだりがあるが、そこも含めてとてもいい話になっているのでおすすめしたい。

 

  また余談だが、PSP向けに発売されたイレギュラーハンターXにはVAVAモードという隠しモードがあり、VAVAを知るためのとてもいい話になっているのでそちらも併せておすすめしたい。

 

 

シリーズが好きな方やヒーローが泥まみれになりながら何かを成すという話を読みたい方におすすめ

 

  岩本先生によるロックマンXのコミカライズはロックマンシリーズが好きな方はもちろん、エックス達が泥にまみれながらも足掻き続ける様がとても丁寧に描かれており、8ボスとの闘いやシグマ戦に至るまでのエックスの心境の変化について、とても緻密にその時の感情に寄り添う形で描かれている。

 

  また、戦いにかけてのカタルシスを掻き立てる演出も素晴らしく、8ボスとのバトルは毎回どのような困難を乗り越えてその先に何を掴むのかという結論に至るまでの道のりも多種多様で個人的にはX2のクリスター・マイマインとのバトルが物凄く好きだ。

 

  レプリロイドのエネルギー源であるエネルゲン水晶の採掘現場に居るカタツムリ型のボスで、自身を醜いものであるというコンプレックスを持っており、中ボスであるマグナクォーツの美しさの側に居る時だけ自身の醜さを忘れることが出来るというボスで、その事情を理解していなかったエックスはマグナクォーツを破壊してしまったことをきっかけにマイマインに恨みを買われ戦闘が始まる。

 

  劣勢に追い込まれるエックスは死にたくないという一心で何とかマイマインを撃退するが、マイマインの心の拠り所であったマグナクォーツを破壊してしまった事によって彼の恨みを買ってしまった事や、恐怖に駆られて結果的にマイマインを破壊してしまった事を彼の遺体の前で悔いるという悲しい結末になっている。

 

  ヒーローという存在といえどその行動の全てが正しいという訳ではなく、結果として彼らが大事にしていた場所や物を破壊しに来てしまった。という結末もあり、エックスの心に深い傷跡を残す。

  ピンチをチャンスに変えて困難を切り抜ける王道的な展開も好きなのだが、時折このように独特な余韻を残しエックスに自らの行動の是非を問わせるような話も入っていることがエックスを取り巻く物語を更に重厚なものに変化させている。

 

  コミックボンボンは残念ながら既に廃刊となっており、オリジナルの単行本を手に入れる事は難しくなってしまったが、復刊ドットコムで各シリーズ事に一冊にまとめられた単行本が現在販売されているので、そちらをおすすめしたい。(X3のみ上下巻で刊行されている)

  最近になってKindle版も発売された為、本棚のスペースが心配な方にとっても安心だ。

 

  スーパーファミコンプレイステーションでシリーズをプレイした事がある方にとっては時間がある時に一度手にとっていただきたい。

好きな作品のことを書く : 第二回 オウガバトル64

  ここ最近FFXVIを遊んでいるのだが、めちゃくちゃに楽しくて一旦やり始めるとゲームをやめてからもずっとFFXVIの事ばかり考えている。

  FFXVIの具体的な内容の話は避けるのだが、この話の続きはどうなるんだろうだとか、そういう想像をする度こうなったらいいな…とか自分が想像しなかった展開を見られるといいな…とか仕事中や散歩の最中にゲームの内容について思いを馳せる時間がとても好きだ。

 

  そういった時間を過ごしているとそういえば昔プレイしたゲームのこういう所が自分は好きだったなという事をよく思い出すので、今回も好きだったゲームの話になります。

 

このゲームと出会ったきっかけはTVCMだった


  このゲームと出会った頃はまだ小さい子供の頃で、当時実家にはゲームはあったのだが任天堂のゲームしか買ってはいけない決まりがあったので、スーパーファミコンや64を中心に遊んでいた傍ら学校のクラスメイトがプレイステーションでテイルズだったりスターオーシャンだったりRPGを遊んでいるのを見ていてそれがとても羨ましかった。


  自分もそんなRPGで遊びたい!と思っていた矢先の事、テレビCMでオウガバトル64のCMが放送されていて、その内容が俳優の宮本浩次さんがバーで自問自答をしながら選択に迷う所にバーテンの方が戦わないのも選択です。とつぶやく内容のCMで、それを見てめちゃくちゃ大人向けでかっこいい!!と思ったのか、誕生日かクリスマスのプレゼントのどちらかに両親にねだって買ってもらった。


  当時家にネット環境が無くてファミ通なども買ってもらえるようなお小遣いも家風でもなかったので、具体的なゲームの内容はCMでしか察することが出来なかったので、ゲームのジャンルがシミュレーションRPGだと知らずソフトを起動して少し驚いたが(そもそもシミュレーションRPGがどんなゲームなのか知らなかった)、それまで物語がある内容のゲームに触れたのは叔母に貸してもらったゼルダの伝説 夢をみる島しか無くて、夢をみる島もめちゃくちゃ好きなゲームだったのだが、他にはマリオカートF-ZEROしか知らなかったので、これでやっと憧れのRPGが出来ると思ってかじりつくように夢中になった。

    


正義と野心が複雑に絡み合う重厚なストーリー


  オウガバトル64伝説のオウガバトルから始まるオウガバトルサーガの第六章となる作品で、オウガバトルでおなじみ松野泰己さんのプロットを元に制作されたタイトルである。これが自分が初めて触れる事になるオウガバトルシリーズになった。

  評価が賛否両論分かれる作品ではあるが、自分は思い出深くとても好きなタイトルだ。


  ローディス教国を隣国に接するパラティヌス公国の士官学校を卒業した主人公マグナスは、南部軍に配属され革命を掲げローディス教国とパラティヌス公国からの支配からの脱却を掲げる革命軍の討伐にあたるが、パラティヌス公国が従属しているローディスの一方的な支配と虐げられる人々の実情を知ったマグナスは革命軍へ志願し、ローディスの支配からの独立を志すというもの。


  当時まだ小学生だったので、話の内容の全てを理解することは出来なかったのだが、それでもオウガバトルの持つ土の香りがしてきそうな世界観と複雑な人間模様はとても好きだったし、周回を重ねて少しずつ理解していった。


  中でも当時の自分に衝撃を与えたのは、物語の序盤で革命軍に加入したマグナスの活躍により追い詰められた南部軍の指揮官であるゴデスラスが起死回生を試みようとローディスによって提供された魔界の果実を自分の家族に使用しその家族の亡骸から伝説上の魔物であるオウガが生まれるというもの。

  

  その様子がはっきりと描写される訳ではなく会話の中でそういう事をやっていた事が発覚するというシーンなのだが、悪役のふとした所に見せる人間味(と言ってもやってる事はかなりアウトなのだが)の部分が見え隠れするとは思わなくて衝撃を覚えた。


  当時の自分は主人公と悪役が存在するお話は悪は絶対的なもので、悪役は常軌を逸脱する行動を取る事に何も躊躇をしないような勧善懲悪なお話しか知らなかったので、悪役にも常軌を逸脱する行動に至るまでにそれなりの事情があって、でも自分の家族を犠牲にしてまで得たかったものが自分自身の身とプライドだったという事がなんともその悪役の人間味を表しているシーンでとても衝撃的だった。


  そして、正義が必ずしも正しい行いをしているわけではないというのは主人公サイドにも言える話で、プレイヤーの身の振り方でかつて仲間だったキャラクターと相対してしまうという事もある。

 


敵を倒すことだけを考えてゲームを進めると、今度は自分自身が新たな脅威となる存在になっていた


  初回プレイ時、ローディスの軍勢を少しずつ倒していき遂にラスボスを倒して革命軍の悲願を達成する事が出来た。これで安心してエンディングを見ることが出来ると思った矢先、マグナスは正体不明の部隊に襲撃を受けた。


  その部隊を率いるのは前作の伝説のオウガバトルの主人公であり、時には本編内でマグナスを導く師匠のような存在でもあり、仲間として共闘もしてくれていたデスティン・ファローダを初めとするゼノビア五人衆だった。

  デスティンと相対した時、今ならまだ間に合う。我々に降伏するのだ。と宣言される。最初はその言葉の意味すらわからずなぜローディスを率先して倒してきたマグナスがこのような目に逢わなければならないのかと思ったが、デスティンを撃破した後その言葉の意味を知ることになる。


  革命軍によって奪還された王都ウィニアに戻ろうとするマグナスだが、その途中革命軍の兵士によって止められ、軍へ戻る事を拒絶される。

  なぜなのかと問いただすマグナスに革命軍の兵士は戦う事に明け暮れて民を顧みない者は我が軍に必要ないと斬り捨てられ、マグナスは国を追われることになった。


  ローディスとの闘いに勝利することだけが正義だと考えていた自分自身が今度は新たなる脅威となっていて、国を追放される事になるとは思いもよらなかった。

  デスティンがマグナスに向けて降伏勧告を出したのは、本来は革命軍の新たなる脅威となったマグナスを暗殺せよという命令を受けていた筈のデスティンがマグナスに向けて出した最後の助け舟だったという事もこのエンディングを見て理解した。

この後味の悪いスーパーバッドエンドは次の周回はちゃんとやろうと思えるきっかけになってくれた。


カオスフレームなどのシステム


  本作のゲーム性は伝説のオウガバトルに近い形になっており、ひとつのフィールド内に拠点がいくつもあり、複数のユニットを動かしながらそれらを制圧、もしくは解放を進めていきながら敵本拠地の総大将を討ち取るとステージクリアという形になっている。


  ゲーム部分の進め方はプレイヤーに委ねられており、拠点をひとつひとつ制圧解放していきながらじっくり進めていっても良し、拠点には目もくれず総大将のみに目的を絞って進めていくも良しという形になっている。


  ただ、ゲームプレイ時にはほぼ見えないのだがカオスフレームという値があり、プレイヤーの行動次第でこの値が上下する。

  カオスフレームは手っ取り早く言えば民衆の支持率の事であり、拠点を制圧すれば下がり解放すれば上がる。

  制圧と解放の判定の違いは拠点にはモラリティという数値が設定されており、モラリティの値が高ければナイト等の職業中心のユニットで拠点のマスを踏む必要があり、逆に低ければバーサーカー等の職業中心のユニットでマスを踏む必要がある。

  ユニットにはアライメントという値が設けられており(簡単に言えば適正みたいなもの)踏破したい拠点に合わせたユニットをそれぞれ派遣してゲームを進めていく必要がある。


  カオスフレーム値を気にしないのであればこれらをすべて無視してゲームを進めることも出来る。


  このカオスフレームは値によってエンディングの分岐や仲間になるユニットの可否が決まるのだが、カオスフレームは隠しパラメータになっているので自分の行動の是非を自らに問いかけ続けないといけない仕組みになっているのが好きだった。

  


戦うことだけが正義ではないオウガバトルの世界観


  RPGという性質上敵と戦う事は避けられないので進行上倒すことが必要な敵は必ず居るのだが、敵を倒すことだけが目的ではない。

  前途の拠点の解放をしてカオスフレームの値を上げておく事はもちろん、クリア済のマップの街を再訪して拠点に訪れるとゲームを進める上で有利になる職業の解放要素に必要なアイテムが貰えたり、通常プレイでは仲間にできないユニットの加入などいわゆる軽いサブクエストの要素が内包されている。


  要所要所でクリア済のマップをしっかりと訪れて町民の話を聞いておくのは世界観の理解に繋がるし、前途のようなしっかりとしたご褒美も用意され、更には拠点の解放を目的にマップを攻略するとクリア時の報酬が多くなったりする。

  レベルを上げて戦闘を有利に進めることもゲーム攻略には大切なことだが行き詰まったらその時その時で必要な救済制度が用意されていて、それを得るには民間人の協力をする事で攻略の糸口を掴むことができる場合がある。


  現在のゲームではほぼ当たり前のようにサブクエストが実装されているが、本作のそれはサブクエストをこなすような感覚に近い。

  ただ、それがUI上では確認できないものになっているので、不便さを感じる所もあるかもしれないが、ゲーム側から拠点の住民の話をしっかりと聞いて彼らが望むものを提供することも大切だという意図も感じるので、カオスフレームの管理はゲームの仕組みをもっと知るための手段として個人的に素晴らしいものだと思った。

  


好きなキャラクター


  主人公のライバル格のキャラクターであるディオメデスと中央騎士のレイドがかなり好きだった。

  ディオは平民出身だが野心家で出世欲が強く感情を抑えられないタイプのキャラクターで、FFTで言う所のディリータタクティクスオウガで言う所のヴァイスのポジションに近い。


  物語序盤でディオを仲間にするか、離別させるかを選択させるシーンがあり、選んだ選択肢によってディオが味方になるか敵になるかを選ぶことが出来る。

  ゲームの正解ルートとしては多くの人がディオと仲間で居続けてもらうルートを選択する人が恐らく多数派だと思うのだが、自分は離別させるルートがものすごく好きだ。


  レイドはマグナス達が最初に所属していたパラティヌス公国の中央軍の騎士だが、選民思想が強くマグナスが所属する南部軍を下っ端としてみなしたり、革命軍に賛同する民間人を反乱分子とみなしてあっさりと斬り捨てるいわゆるステレオタイプの悪役である。

  実質的にローディスの傀儡と同様になっているパラティヌスの騎士という既得権益にしがみつきながら、一方的な支配を押し付ける象徴的なキャラクターとなっており、物語の苦みの部分を引き立てる重要なキャラクターだ。


 ディオと離別をするシーンで離別をする選択をした場合、ディオはレイドによって中央軍に迎えられる事になるのだが、革命軍によってレイドが敗走した後、逃げるレイドをディオが斬り捨てるシーンがある。

 野心の為に自分の身の回りで使えるものは何でも使い、使えないと思ったならたとえ上官であろうと斬り殺すディオの冷徹さが伺えるシーンとなっているが、物語序盤でマグナスと行動を共にしていた頃の喧嘩っ早い跳ねっ返りのディオの姿は既に無く、あんたの抜けた穴を俺が埋めてやる。と冷たく言い放ちそこから去っていくディオにかつての姿は既になくゾクッとした感覚を覚えた。


  ディオはその後、マグナスと直接殺し合うことになるが、敗北後薄れゆく意識の中で自分がしてきた過ちを悔いながら本当はマグナスのようになりたかったと言い残し息絶える。

  離別ルートは悲しい話だが、ディオが本当に追い求めていたものは生活に困らない程の立場を手に入れることではなく、マグナスが持っていた仲間からの信頼や友だったという事が分かるルートになっている。


  ディオに限った話ではないが、オウガバトルは人間の野心や欲望との関係の描き方についてとても秀逸だと思うような描写が多くとても好きだ。

  敵味方関係なく登場するキャラクターほぼ全てに誰かとの関係があり、たとえ相手がローディスの人間であってもそのキャラクターの厚みの部分をしっかりと描いてくれる。

  終盤の敵キャラクターであるボルドウィンとリチャード、タムズの関係もとても好きだ。一見支配関係が明確で部下に対して高圧的に当たっているように見えてもその裏で実はお互いを尊敬していたり愛憎を持っていたりするのがたまらない。

 

キャラクター同士の関係性をじっくりと見たい人や、ずっしりと重い世界観を感じたい人におすすめ


  前途のようにオウガバトルは敵も味方も複雑な人間関係を持っており、それぞれの目的や感情をしっかりと描いてくれる濃密な人間ドラマが何よりの魅力だと個人的に思っている。

  駆け出しの主人公達が荒廃した世界の現状を見つめる最中その上部のレイヤーでは利権を争うドロドロの人間模様が描かれたり、パラティヌスの王となる幼なじみを守るという約束を抱えながらもその幼なじみと敵対関係にある軍に身を置く事の苦悩、親友が自らの元を離れていく苦悩、どれも苦しい事ばかりだがそれでも自らの掲げた信念を押し通していくしかない。

  そんな泥臭い話を常に感じたい方にはとてもおすすめだ。


  現在はNintendo 64Wii / Wii Uバーチャルコンソールでしか遊べないが、もし手に取ってみたいと思う方が居ればおすすめしたい。

  最近はNintendo switch onlineでも64のソフトが遊べるようになってきているので、そこから遊べるようになればとても嬉しいと思っている。

好きな作品のことを書く : 第一回 Demon‘s Souls Remake

誰にでも好きな作品はある。ゲームも本も漫画もアニメも映画も舞台でもジャンルを問わず好きな作品があるという事はそれだけでいい事だし、何より生活を楽しくしてくれたり明日も頑張ろうとかそういう気持ちにさせてくれる。

だが自分の場合、好きな作品の話をする時に少し恥ずかしいなと思うことがあったり、SNS等で好きな作品の話をする時はネタバレに触れる事をしゃべる訳にもいかないので、好きな作品の話をする機会を作る事、意外と難しいなと思うようになってきた。

今プレイしているゲームや読んだ本の感想もきちんと残しておきたいなと思うが、かつて触れて好きになったコンテンツの話をする機会というのもなかなか無いので、こういったコーナーを作ってみて好きな作品を好きなように語り散らしてみようと思い至った。


今回はPS5向けに発売されたDemon‘s Soulsの話をします。
話の本題を始める前に、お話やゲーム部分の革新に迫る部分のネタバレはなるべくしないように心掛けますが、どういう所が好きだったとかそういう所で所々ネタバレをしてしまうかもしれないので、その点のみお気をつけください。


PS5が発表されてその当時のゲームグラフィックスの進化が凄まじくて衝撃だった

話が少し逸れてしまうのだが、PS5が発表されてからおよそ半年後、Epic GamesからUnreal Engine 5のPS5でのリアルタイムデモ映像が発表されてその内容にめちゃくちゃに驚いた。何に驚いたかを説明するのが難しいので、時間がある方は発表時の映像を見て欲しい。

www.youtube.com



精密に造形された岩肌や建造物、石像のディティールや太陽光の美しさ、そして何よりLOD※が不要という文言に驚いた。(※Level of Detail - プレイヤーの遠くにある物体は簡略化されたデータを使用し、近付けば近づくほど高精細なモデルに変更する事で描画負荷を軽減する技術 )
UE4のデモ映像の時もめちゃくちゃに驚いたのだが、UE5が発表された時は確実に何かが変わっていくような予感と、そして何よりこの品質でゲームがプレイできるんですか!?という期待感に一気に胸が躍った事は記憶に新しい。

そして、この品質のデモを動かしているPS5はとんでもないものだという予感が存在していた。


PS5のローンチタイトルとしてDemon's Soulsのリメイクが発表されたのでこれを機に触れてみたいと思った

そんなとんでもなくヤバい予感を感じさせるPS5の抽選販売に運よく当たってしまったので、ローンチタイトルとして出ていた Demon's Soulsをせっかくだしプレイしてみようと思い立った。

Demon's Soulsはゲームに触れた事がある人なら聞いたことがあるであろうソウルライクのジャンルの先駆けとなったタイトル (正確にはそのジャンルの名前が付いたのはDARK SOULSから)で、2009年にFROM SOFTWAREからPS3向けに発表されたものをbluepoint gamesがPS5向けにリメイクを行ったというもの。

高難易度な死にゲーと良く言われているシリーズで、攻略中は数え切れないほど死ぬことがあるのだが、その死の原因の多くは罠に引っかかる・敵からの不意打ちに引っかかる・敵の攻撃への対処が出来ていない。
などなどちゃんと覚えておけば正しく対処出来るような事が主なので、死ぬことがストレスを感じるというより、次こそは上手くやりたいからまた挑戦したいと思えるような作りになっている。

そうやってどこでどんな立ち回りをするのが適切なのか、少しずつ覚えていって長いステージを攻略していってある程度の所まで進めることが出来たら相応のご褒美がほぼ必ず用意されている。
序盤のステージであるボーレタリア王城城門は、それらのプロセスを繰り返し何度も経験できる作りになっているのでとても秀逸なステージだと思った。
もちろんそう思えるまで100回は死んだが、ボス部屋を開通させた時の喜びとステージ全体の構成が理解出来た時の感動と達成感に比べれば100回死んだ事など微々たるものだと思えた。


はっきりと語られないお話を想像しながら読み解いていく

ソウルシリーズやSEKIRO、Bloodborneに共通して言える話だが、明確なお話の概要こそあれど、そのお話の細部が言葉によってはっきりと語られる事は非常に少ない。
一番語られるのは要所要所のキーパーソンとの会話やあらすじとなっているが、公式サイトで公開されているあらすじがゲームの世界の概要を一番理解しやすいので、抜粋させて頂く。


北の国、ボーレタリアの王、オーラントは
人跡地の限界、氷山脈の奥地で、巨大な楔の神殿を見出し、ソウルの業を手にした。
ソウルとは、人に隠された、新たな力であるようだった。

だが、ボーレタリアの繁栄は長くは続かなかった。
老境に至ったオーラントは、更なる力を求め楔の深奥に入り込み
そこに眠る古い獣を目覚めさせ、色の無い濃霧と、デーモンたちが生じた。

色の無い濃霧はボーレタリアを覆い、デーモンたちは人々からソウルを奪い、喰らった。
ボーレタリアは、瞬く間に、ソウルに飢えた亡者だけが彷徨う亡国と成り果て
霧の裂け目から、多くの英雄たちを飲み込み、そして、誰も戻らなかった。

濃霧は、静かにボーレタリアから滲み出しつつあり、
既に北の地の大半が、濃霧の中に消失していた。
人々は、緩やかな滅びの予感に絶望していた。
やがて濃霧が、世界の全てを覆うだろう。

そんな中、最後の希望が
霧の裂け目からボーレタリアに入り込む……

 





こうしたすごくしっかりとした世界観が語られているが、このあらすじから先を更に詳細に知りたいと思った場合、誰かの口から明確な答えが返ってくることはとても少ない。
その代わり、ステージ上に落ちているアイテムや、攻略ステージの背景のの状況描写によって語られるストーリーテリングが非常に秀逸な作りになっている。

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Gameplay trailerで紹介されるチュートリアルステージである楔の神殿までの旅は物語の舞台となる北の国、ボーレタリアへと向かう道筋となるステージだが、かつては栄えたであろう石造りの城や通路は無惨にも壊れ、所々が木材で補修されていたりと人の意思が残っているかのような印象があるかと思えば、それらはすっかり植物に侵食されて荒れ果てているし、北国特有の冷えた空気が寒々しい雰囲気を作り上げている。

このマップで何が起きたんだろうとか、想像をしながら情報を得ていくことがひとつと、もう一つ手段があるのは、道中に落ちているアイテムや敵を倒したら出てくるドロップアイテムのフレーバーテキストを読むことでこの場所で何が起きたか、彼らは何者なのかを知る手助けになる。
とはいえ得られる情報は断片的なので、それらを集めてひとつひとつアイテムのテキストを確認して、このアイテムとこのアイテムのテキストは繋がってるかも。という仮説を立てながらプレイするというのもかなり面白い。

ヒントを揃えても明確な答えに辿りつかない事もあるが、そこは自分で想像して埋めてみてもいい。
分からないからこそ集会プレイもしてみて改めて観察してみてもいいし、ゲームを起動していなくてもボーレタリアで何があったのかをぼんやりと考えるだけで楽しいのだ。

勿論ある程度の答えは用意されているのだが、そこに行き着くまでに敵を掻き分けて、たまに休憩して、そんな事を繰り返して自らの中の仮説をどんどん組み立てていくような面白さもある。
自分の場合は何よりプレイヤーの想像力を信じてくれている気がしてとても好きである。


自分が一番好きなステージ

腐れ谷2は最高、本当に最高。Demon‘s Soulsといえば腐れ谷!!!!
腐れ谷は谷間にある全ての不浄が流れ着くマップで毒や疫病が蔓延する中、病による苦痛を少しでも和らげようとする村人たちは、来訪者のソウルを求めて襲いかかってくるというマップ。

ネタバレになってしまうのだが、この腐れ谷はエリア全体を通してとても好きなマップだ。
暗いし足場は狭いしどんな方向から敵が襲ってくるのかすら分からないし、中には回避手段のローリングを封じられる大沼のエリアなんてものもある。そしておまけに至る所に毒や疫病といった状態異常のリスクが存在するという最悪に最悪をかけ合わせたようなマップだが、このマップが本当に大好きだ。

解毒用のアイテムの残数に気を配りながら常に不意打ちを警戒して少しずつ前に進まなければならない緊張感と、腐れ谷2の大沼地帯後半の巨大腐敗人2体と、毒霧を出す腐敗人が居るエリアでどんな手段で敵を一体ずつ釣り出して狭い陸地で戦うかを考えている時は本当に苦しかったし、その後に集落地帯を超えないといけない事が分かった時は一度絶望したが、それを超えてボスまでのショートカットルートを開通させる事が出来た時はこの長く苦しい旅をもう繰り返さなくてもいいんだという安堵と、達成感に打ちひしがれた事は記憶に新しい。

そして、具体的な内容に触れることは出来ないのだが、その更に奥にあるエリアの攻略をしながら本当のデーモンとは一体誰なのかという事を実感したのも腐れ谷というマップが好きな所だ。


圧倒的なディティールで描かれるグラフィック


最初にゲームを起動してプレイをしいた時は、これは本当にゲームグラフィックなのか?と錯覚するほどとにかく目に映るものの造形が美しい。
一個一個が崩れていたり傾いてたりする石造りのタイルの上に土が盛られて枯れ草が生えていたり、乾燥して繊維が裂けた木材だったり、石積みの壁の端が欠けて崩れ落ちていたり…あらゆる所にその場所がかつてはどんな所だったかを語ってくれる。

とても荒涼とした世界観で出会う人々は来訪者のソウルを求める亡者が大半だが、そこにはかつての人間の暮らしの跡が確かにある。
攻略していくダンジョンの種類や階層毎にかつて人間が居てそこで何かをしていた跡というものが確実にあって、攻略を開始した時点からボスが待ち構えているエリアに至るまでの道筋でフレーバーテキストを全く読んでいなかったとしても、この場所でどんな事が起きたのかを想像できるようなマップになっている。

これはプレイしたことがある全てのソウルシリーズに共通して言えることだが、マップから得られるストーリーがすごく重厚なことが自分をソウルシリーズに夢中にさせた大きな点だ。



多くを語られない事柄に身を置きながら緊張感を持って世界を歩くことがたまらなく楽しい

背景の情報が非常に多くてもそれがストーリーの全容を表しているという訳ではなく、誰がどこでどのような事をして現在に至ったのかが語られる機会は非常に少なくNPCとの会話で得られる情報も非常に断片的なので、一周でストーリーの全容を理解するのはかなり難しい。
実際自分も一周目をクリアした時はおおよその全体の流れはなんとなく理解したが、細部に至る部分は何も分からない状態でエンディングを迎えてしまった。

どこのダンジョンのどれが分からなかったので理解するためにまた周回を始めようとしてみるが、2周目はクリア時のステータスは持ち越せるが、その分敵も強くなっている。

オーラントの目的は何だったのか、ソウルの秘密は結局何なのか、尽きない疑問を動機に今度はダンジョンを丁寧に歩いてみようという思いながら一周目と少し違う形の緊張感を持ったダンジョンにまた身を投じていくのだ。

この世界を理解したいという衝動から拾ったアイテムのフレーバーテキストをつぶさに読んだり、NPCとの会話にちゃんと耳を傾けようと意識したり、それでも分からない時は考察をしてくださっている方の力を借りさせてもらったりしてDemon‘s Soulsの世界を少しずつ理解していく工程は、ゲームを起動していない時もあれって結局なんだったんだろう。と思いを馳せる事になるし、情報が整理しきれずに右往左往してしまう時間も含めてとても楽しい。

知りたいという欲求に駆られながらも、知るためにはまた危険に身を投じなければならず、常に皮膚がヒリつくような緊張を感じながらドロップアイテムを求めてひたすら敵を倒し続けたり、出てきたアイテムに一喜一憂したり、ダンジョン攻略の全容は理解している筈なのにダンジョンを歩く工程は果てしなく長く、ゴールへの道筋が見えてきた時にはこれまでしてきた旅がとてつもなく長いものであったと感じさせる。

このゲームのお陰でコロナ禍が始まったばかりの2020年の夜を楽しい思い出にする事が出来たし、ソウルシリーズというジャンルを好きになったきっかけを与えてくれたタイトルでもあるので、今でも変わらず大好きなタイトルだし、いずれPS3版の原作もプレイしてみたいと思っている。

その為にまずはまだクリアしてないDARK SOULS 2と3をクリアしなければ…。

Google Pixel Buds A Seriesを買った


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  普段引きこもりに近い生活をしていて、コロナ禍で打ち合わせとかもほぼほぼリモートになった影響で外出する機会がめっきり減ってしまったのだが、一人で出歩く機会が全く無いという訳では無いし、電車の中でただじっとスマホを見続けているのも何とも歯がゆいと思う事があったりするので、ワイヤレスイヤホンが欲しいとなんとなく思い続けていた。

 

  何でAirPodsじゃないの?という疑問は自分がPixelユーザーで、Pixel Budsの方が相性やペアリングの周りなど何かと便利だろうと思っていたからで、iPhoneを使っていたら普通にAirPodsを買っていたと思う。
  少し話が飛ぶが、昨年末に前に使用していたPixel5を誤って水没させてしまって端末が故障してしまったので、自分の過失を反省しながらPixel7を買った時にどうやらGoogle Storeのポイントが余っていたようで、Googleからポイント余ってるんだけどという旨のメルマガを受け取ったので、そういえばと思い買うことにした。
  単純に自分がポイントの事を忘れていただけなのだが、ちょっとした棚ぼた気分を味わった。

 


形状と使用感

 

  イヤホンの形状は耳の穴に入れ込むタイプのもので、落としたり耳の穴の中に圧迫感を感じるようになるんじゃないかと少し不安だったが、ちゃんと固定されてる感もあってかつ圧迫感もあまり感じないようになっている作りになっていたのでつけ心地はとても快適だ。
  聴き終わればケースに入れる事で勝手に充電されるし、ケースも含めて収納のスペースもそんなに取られないので、ちょっとした外出時にもパッと持って行けるような快適さもあるし、デスクの上に置いておいてもそんなに邪魔にならない。

  とはいえ外出用のもので家の中ではそんなに使う事無いよねと思っていたのだが、家の中に居る時もあると助かるような事が割とあって助かるなあと感じる。

 

 

ちょっとした家事をやる時にとてもいい

 

  家事をする時に好きな曲をかけながらやれたらご機嫌だろうなと思いつつ、大きな音を出すのはさすがに憚られるような時間帯があったり、一人暮らしではなかったりすると、今曲を流すのはちょっとな…と思うような時にとても丁度いい。

  洗い物や風呂掃除などの時にパッとつけてSpotifyを立ち上げて大きめの音で曲を流しながら家事をすると結構快適だった。
  外に出なくても家の中の暮らしで気軽に曲を楽しみながら家事が出来るのは、面倒くさいという気持ちを軽減出来るし、家事をやりながらたまに割り込んでくる雑念を感じる機会も減ったので、少しばかり生活の向上が出来たような感覚がある。

  この点を自覚出来たという事がこれを買って良かったと思える点だった。

 


音質について

 

  自分は音楽家ではないし、多くのオーディオ製品に触れている訳でもないほぼズブの素人なので、正確なレビューではなく、あくまで主観で語る事になってしまう事を前置きにしたいのだが、高音は耳の穴の手前で鳴って、そこから低音に下がるにつれて耳の穴の奥で鳴っているような印象で、空間を感じる仕上がりだった。

  特筆すべきは低音で、音がしっかりと聞こえるのはもちろん振動をしっかりと感じる。耳の中がしっかりと揺れている感覚を味わえるような印象だ。
  普段はヘッドホンで音楽を聴いているので、音の振動が自分の身体に作用している経験は久々だった。

  とはいえ自分が前に使ってたポータブルオーディオ機器ってなんだ…?と思い返したら、学生の頃地元のビックカメラで買った3,000円くらいのクリップヘッドホンだったので、もちろん価格によるグレードもかなり大きいんだろうけど、こんなに進化してるんだスゴ……という浦島気分を味わった。

  ポタオデ好きな方にとっては、もっと細かい解像度で物事が分かるのかもしれない…。

 


バッテリーについて

 

  引きこもり人間なので外出先で長時間音楽を聞き続ける事をまだそんなにしてないのだが、使用してない時はケース内で充電される仕様のお陰で今の所そういう心配を殆どしなくてもいいのはとてもいいなと思った。この辺はAirPodsも同じだと思うけど。

  ケース自体の充電方式はUSB Type-Cで有線接続をするか、Qi対応の端末か充電器に置いて充電するかになる。
  Pixelの端末の背面に置けば充電する事も出来るのだが、寝る時を除いて普段遣いでスマホのディスプレイ面を下にして置いておく事がなかなか無いので、有線でたまに充電してやるのが一番いいのかな…と思っているが、有線は有線でデスクがケーブルでいっぱいになっちゃう事があってそれはそれで美しくない…と思うので、デスクにあるスマホやらタブレットやらPixel Budsやらをひとまとめにパッと充電出来るワイヤレス充電器欲しいな…という気持ちになった。

 


まとめ

 

  ケーブルマネジメントをどうしようかな…という悩みはあるけど(これに限った話ではなく配線をいい感じにしたいのは永遠の悩み)久々にポタオデに手を出してみていい経験をさせてもらったな…と思ったし、何より家事の時間をちょっと楽しくできる事が何より大きい事だった。買ってよかったな…。

  それと同時に自分の音に対する解像度低いな〜と感じたのでいい感じ(語彙)に深めていきたい。インストの曲をよく聞くのでその曲のどの部分のどういう音が良かったかとか、そういう所をもうちょっとちゃんと言語化できるような体験をしたいなと思った。

はてなダイアリーを始めた

  ちょっと前からプレイしたゲームとか見た映画とか読んだ本とかの感想をふせったーに書き残しておく事をしていたけど、見返したり一覧表示する事は出来ないので、日記形式で残しておけばX(Twitter)で作品について書きたいけどネタバレになっちゃうと良くないと思って書けなかった事とかをこの場所に書いておく事で自衛の為のワンクッションを設けられるのでいいんじゃないかと思ってはてなダイアリーを始めた。

 

  書く事としては先述の事だったり、好きだった作品を言語化するのがイマイチ下手くそなので好きな作品語りを書いたり、あとはたまに忘れがちなCG関係の設定周りの事を書いておくとか、どっか行った時の日記だとか、まぁそういうありふれたものだと思います。

 

  こういう事を始めようとしても長い間日記等を書いてなかったりすると見返すのが恥ずかしくなって億劫になるという事を何度か経験したので、変に意識高い感じにはせずに思ったことを書いて自分の周りの人がたまに見てくれたらいいや。くらいの気持ちでやっていきたいと思います。